神様の米「ふさなり」に関して

【学術用の標本から再生された神様の米(稲)】

日本を代表する、高知(佐川)出身の植物学者、牧野富太郎氏(1862~1957)の弟子で、同じく高知出身の植物学者 竹田功氏(
19202011)が生前、学術用標本として保存していたのが「ふさなり」です。保存されていた「ふさなり」は、竹田功氏の長男、竹田順一氏※が遺品整理をしていた際に自宅で発見したものです。

※竹田順一氏は、2017年現在67歳。全国水土里ネットアドバイザー ・会社顧問(農業部門)

 

「ふさなり」は、今から約半世紀前(1963年)に九州大学農学部大学院によって生態調査が行われています。九州大学大学院のデータベース化された記録によると、「ふさなり」の収集地は三重県有馬村となっています。この調査は、1921年の九州大学農学部開設に際し安藤広太郎教授、加藤茂包教授をはじめ当時の農事試験場のイネ学の第一線の研究者が招聘され、イネに関する様々な研究を開始したことに始まっているようです。

この記録にある三重県有馬村は、現在世界遺産登録された「花の窟神社」の所在地です。

 

 

調査記録に関する詳細説明⇒https://shigen.nig.ac.jp/rice/rice-kyushu/htdocs/about.html 

【文化背景のある香り米】

小川正巳*猪谷富雄氏(著)の文献【農業及び園芸 第83巻第8号(2008年)】「香り米こぼれ話」によると、「 江戸中期まで神社の神前に捧げられた稲の種籾を少量持ち帰 り,自家の種籾に混ぜて苗作りのための種まきを行う風習が全国各地で行われていた。」とあります。

http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010761368

 

実際、竹田功氏の遺した種籾も三重県熊野市有馬町「花の窟神社詣」の際に地元(土佐)高知住民が持ち帰り、地元高知で育てられていたものを標本保存していたものです。
※現在の地名は、三重県熊野市有馬町

 

三重県熊野市有馬村町での「ふさなり」稲作は途絶えてしまい、現在「ふさなり」は、熊野市には影も形も残っていません。それが故に、2004年に熊野古道一帯が世界遺産登録された当時、熊野市では新たに創作された物産品や観光用イベントのための稲作(黒米:イザナミ米)を登場させています。

 

今日現在、高知の植物学者の遺した遺品と学術記録を元に「ふさなり」が高知農家の有志「ふさなり生産組合」によって再生されています。

高知県香美市にある「ふさなり生産組合」では、再生事業として、本年2017年に3回目のチャレンジとなる田植えを行いました。

 

2017年秋に収穫した米は、里帰り奉納を果たしました。



ふさなりの植物学的な考察

一般的な稲(左写真)

左右の写真を見比べて頂くと判るのだが、左が高知県内で一般的な「にこまる」という稲だ。
それに対して右にあるのが「ふさなり」だ。稲の背丈が高い。稲刈りに使うコンバインの標準規格に合わないため何度も稲藁が機械に詰まってしまう。
ふさなりは稲が実ると頭を垂れてしまうため収穫には苦労する。九州大学の稲データベースにも登場する「ふさなり」標本のデータでも、茎の長さは1m近い。

「ふさなり」(右写真)は、稲の背丈が1mを越える。

身長150cmの女性が持つ「ふさなり」は、背丈1mを優に超える。(写真下

(写真下)の女性の身長は150cm強だが、やはりふさなりの背丈が際立つ。


花の窟神社と稲

  • 『ふさなり』と言う稲は、日本書紀に伝わるイザナミノミコトが葬られたといわれる『花の窟神社』(三重県有馬町;2004年に世界遺産登録)の周辺で古くから稲作されていた稲で、1963年(昭和38年)に実施された九州大学の調査研究記録が残っています。
  • この稲は香稲米(こうとうまい)の一種で、炊きあげるときに放つ、香ばしい香りが特徴で、古くはこの香稲の放つ香りを奉納したとされています。

牧野富太郎博士

  • 高知は、植物学者牧野富太郎博士(18621957)の出身地です。
  • 同じ高知出身の竹田功氏(19202011)は、牧野博士が設立した「東京植物同好会(現・牧野植物同好会)」に学生時代から参加していました。戦後、竹田氏が高知に帰る際、牧野博士は高知の伝統野菜の標本採取・調査を依頼。高知県立幡多農業高校教諭となった竹田氏は、教え子たちと標本採取・調査を行ったそうです。

近藤日出夫氏

  • 数々の論文に名前が登場する近藤日出夫氏と「ふさなり」標本を持っていた竹田功氏は、古くから交流があったようです。
  • 近藤日出夫氏は、香り米研究の第一人者として有名な方です。
  • 四国・食べ物民俗学―四国山地に見た「縄文」文化フィールドノート (アトラスムック) 単行本 – 1999/10には、数々の稲に関する話が出てきます。

近藤先生の「四国食べ物民俗学」アトラス出版より

近藤日出夫先生並びにアトラス出版様のご好意により、出版物の写真掲載をさせていただいております。(拡大すると何とか読めるでしょう。)


高知の香り米

高知には香り米が数種類市販されています。

十和錦

さわ香り

ヒエリ


高知県内には、香り米が複数販売されています。そのどれもが特徴ある香りを放ちます。
我々の作る「ふさなり」は、現在市販されているこれらの香り米より強い香りを放ちます。

 

仁井田米を注文すると左(写真)のパンフレットが同封されてきました。
『清流四万十育ち ふるさとの味をおとどけします』と書かれています。

仁井田米もとても美味しいお米です。